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公開日2025.06.09

DALL-E3とは? 特徴や使い方、ほかの画像生成AIとの違いを紹介

著者:Sky株式会社

DALL-E3とは? 特徴や使い方、ほかの画像生成AIとの違いを紹介

AI技術が発展する中で、特に画像生成AIの台頭は目覚ましく、テキストでの指示から高品質な画像を生成するツールの利用が身近なものとなってきました。OpenAI社の「DALL-E3(ダリ・スリー)」は、それらの中でもクオリティーと手軽さ、安全性の面で優れているとされ、ChatGPTとの連携もあいまって独自の地位を確立しつつあります。この記事では、DALL-E3の特徴やメリット、活用の仕方などについてまとめています。

DALL-E3とは何か

DALL-E3(ダリ・スリー)は、OpenAI社が開発した画像生成AIです。テキストで指示した内容に基づき、高品質な画像を生成することができます。DALL-E2の後継モデルとして、2023年9月に公開されました。

DALL-E3は、対話型の生成AIであるChatGPTに組み込まれており、ChatGPTの優れた自然言語処理のもと、入力されたプロンプトを明確に分析することができます。そのため、仮に生成された画像が意図から離れていた場合にも、簡単な言葉を追加入力するだけで微調整を加えることが可能です。また、DALL-E3では深層学習モデルの「Transformer」を採用しており、その修正過程を通じて画像生成の精度をより一層向上させられるという特性を持っています。

OpenAIの公式サイトでは、以下のような画像生成の例が紹介されています。

プロンプト A modern architectural building with large glass windows, situated on a cliff overlooking a serene ocean at sunset.
上記の和訳 夕暮れ時の穏やかな海を望む崖の上に建つ、大きなガラス窓を備えた近代的な建築物。

出典:DALL·E 3について「DALL·E 3」

このように、そこまで情報量の多いプロンプトでなくても、DALL-E3によってクオリティーの高い画像を生成できることがわかります。

利用手段

DALL-E3は、画像生成のAIモデルとしてChatGPT以外にも採用されており、以下の3つの方法で利用することができます。

利用方法 概要
ChatGPT OpenAI社が開発した対話型の生成AI。創造的な提案が得意。
Microsoft Copilot
(旧:Bing Chat)
マイクロソフト社が開発した対話型の生成AI。Microsoft製品と連携して業務効率を高めることが得意。
Image Creator from Microsoft Designer
(旧:Bing Image Creator)
Microsoft社が開発した画像生成AI。公式サイトとアプリのほか、Microsoft Copilotを通じての利用も可能。

料金

ChatGPTの場合はChatGPTの料金体系に準じるため、有料プランであればChatGPT Plusの月額20ドルから利用できます。無料プランの場合には、1日あたり2枚までの制限があります。Microsoft CopilotまたはImage Creator from Microsoft Designerを利用する場合には、基本的に無料でDALL-E3を利用することが可能です。

ChatGPT Microsoft Copilot / Image Creator from Microsoft Designer
無料版 有料版
料金 0円 利用プランに準じる 0円(Microsoftアカウントが必要)
回数制限 2回 / 日 利用プランに準じる なし(生成高速化の回数に制限あり)

商用利用・著作権

ChatGPTの提供元であるOpenAI社は、DALL-E3によって生成された画像に関するすべての権利はユーザーにあり、商用利用を含めて自由に利用できる旨を公式Webサイト内にて明らかにしています。ただし、暴力的な内容を含むなどOpenAIのコンテンツポリシー違反に該当する場合や、他者の知的財産権を侵害する場合、法律に違反するような場合を除きます。

一方で、Microsoft社が提供しているMicrosoft CopilotとImage Creator from Microsoft Designerに関しては、より慎重に商用利用の可否を判断する必要があります。いずれにおいてもMicrosoft社側は所有権を主張しておらず、商用利用が明示的に禁止されているわけではありません。しかし、OpenAI社ほど明確に認めているとは言い切れないため、利用にあたっては十分な注意を払い、最新の規約を遵守することが重要です。

ChatGPT Microsoft Copilot / Image Creator from Microsoft Designer
著作権 / 所有権 法令の範囲内で、ユーザーにすべての権利がある Microsoft社側は所有権を主張していない
商用利用 可能 明示的に禁止されてはいない

DALL-E3を使用する3つのメリット

DALL-E3は、数ある画像生成AIの中でも特に優れた機能性と高い操作性を誇っています。ここでは、DALL-E3を使用する主なメリットを3つ紹介します。

知識がなくても簡単に画像を作成可能

DALL-E3では、デザインやアートの専門知識・技術がなくても、簡単な単語を用いて指示するだけで、瞬時にクオリティーの高い画像を生成することが可能です。扱えるジャンルも幅広く、写実的な絵画や抽象的なアート、色彩豊かで個性的なキャラクターデザインなどにも対応できます。

また、DALL-E3は日本語での指示にも強く、プロンプトに込められたニュアンスを深く理解できるため、意図どおりに画像が仕上がりやすいという強みがあります。

独自のアイデアが生まれやすい

DALL-E3では、プロンプトで与えられた指示に基づきつつ、独自の解釈を加えて画像を生成することも少なくありません。そのため、人間だけでは生み出せない新たなアイデアや視点を見つけやすいとされています。

プロンプトの精度を高めながらDALL-E3を活用すれば、意図に沿いつつも常識や固定観念に縛られすぎない、独創的な画像の生成にもつながると考えられます。プロンプトの精度向上には、ChatGPTなどで改良ポイントに関する質問をし、修正を繰り返すことが有効です。

ビジネスに活用しやすい

広告デザインなどにDALL-E3を利用すれば、デザイナーへの依頼や修正、承認といった工数を格段に減らせるため、ビジネスをスムーズに進めやすくなります。長期化しやすいプロセスを効率化することで、鮮度の高いアイデアを迅速に採用でき、トレンド性の高い要素を扱う場合などに役立ちます。

また、DALL-E3は無料で試せるため初期投資を抑えやすく、商用利用が可能なツールやプランを選択すれば、試験的な導入から本格的な活用まで幅広い対応が可能です。

DALL-E3と画像生成AI「Midjourney」の特徴の違い

DALL-E3以外にも、画像生成AIとして「Midjourney」の存在が知られています。MidjourneyはGAN(敵対的生成ネットワーク)と呼ばれる技術を採用しており、特に抽象的で芸術的な画像の生成にたけているといわれています。初めはオンラインコミュニケーションツールであるDiscord上でしか使えないという制限がありましたが、現在ではWebブラウザ版も登場しています。

両者の主な特徴について、以下の表にまとめています。

DALL-E3
(ChatGPT)
Midjourney
Discord版 Web版
操作性 ChatGPT上での会話形式 Discord上でのコマンド形式 ブラウザ上でのテキスト形式
日本語対応 可能 不可(英語にのみ対応)
得意な表現 写実的で高解像度な表現 抽象的で芸術性の高い表現
編集機能 プロンプトの工夫による調整 アスペクト比の変更などの豊富な編集機能
料金 20ドル / 月~
※制限つきで無料版も存在
10ドル / 月~
※無料版は停止中
アカウント ChatGPTの無料版以外ではアカウントが必要 Discordアカウントが必要 Googleアカウントが必要
商用利用 可能 有料プランでは可能(利用規約を遵守)

このように、DALL-E3とMidjourneyはそれぞれに異なる特徴を持ちます。いずれも進化を続けている高性能な画像生成AIであり、使い方次第でさまざまな画像を生成できる可能性があります。

DALL-E3の使用方法

先述したとおり、DALL-E3は、ChatGPTとMicrosoft社が提供しているAIツールで利用できます。ChatGPTの場合でもMicrosoft社のAIツールの場合でも、使い方自体にそれほど大きな違いはありませんが、ここではそれぞれの利用方法を説明します。

ChatGPTの場合

DALL-E3はChatGPTの機能として組み込まれているため、通常どおりにプロンプトを入力して画像の作成を指示することで、DALL-E3を利用できます。

質問回数の制限の範囲内であれば、必要に応じて修正を加えることが可能です。また、プロンプトの中で「4枚生成してください」といった指示を出せば、一度に多彩なバリエーションの画像を生成できます。

このとき、できるだけ具体的な指示を言語化して投げかける、指示の背景を共有しておく、指示の仕方を改善する、といった取り組みをすることが肝心です。人間に対して質問したり指示を出したりするときのように、丁寧なコミュニケーションを心掛ければ、DALL-E3のアウトプットをより意図したものに近づけることができます。

Microsoft社のAIツールの場合

Microsoft社のツール「Image Creator from Microsoft Designer」は、画像生成のモデルとしてDALL-E3を採用しているため、「Image Creator from Microsoft Designer」の公式サイトやアプリから利用できます。そのほか、同社の対話型生成AI「Copilot」でもDALL-E3の利用が可能です。

いずれも使用の手順は簡単で、Microsoftアカウントでログインし、ChatGPTへ指示を出すときと同様に画像のイメージを言語化して入力するだけです。

DALL-E3の活用場面

DALL-E3は、そのクオリティーの高さと手軽さから、あらゆる場面での活用が見込まれます。ここでは、主だった活用場面の中からピックアップして3つを紹介します。

アイデアの創出

DALL-E3は、絵画やロゴ、商品パッケージなどのデザインのアイデア出しにも向いています。例えば商品パッケージのイラストを生成する場合であれば、「どのような商品なのか」「どういったテイストが望ましいのか」といった情報を与えることで、イラストデザインのアイデアを提示してくれます。

仮に最初のイメージが漠然としている場合でも、ChatGPTやMicrosoft社のAIツールが必要な情報を整理してくれたり、追加の質問によってイメージを深掘りしてくれたりするため、アイデアをスムーズに具現化することが可能です。

サムネイルの制作

DALL-E3は、Webサイトの記事やYouTube、Instagramなどのサムネイル制作に役立てることもできます。例えばコラム記事のサムネイルを生成する場合であれば、「記事のテーマ」「想定する読者」「与えたい印象」などを指示すると、それらに応じたイメージが生成されます。

視認性を高めて読者や視聴者を引きつけるサムネイルにするために、全体的な色合いや画像内のパーツの配置、サイズを細かく指定することも可能です。単なるイメージの生成ではない、独自性の高いサムネイルの制作が実現します。

広告の制作

DALL-E3では、サービスや店舗などの広告デザインを行うこともできます。例えば新店舗の出店にあたりポスターを制作する場合だと、「ポスターのサイズ」「店舗のイメージ」「含めたいテキスト情報」などをChatGPTやMicrosoft社のAIツールに伝えるだけで、簡単にポスターのひな型が生成できます。

ただし、DALL-E3は画像内への日本語の出力を得意としていません。日本語のテキストを含めたい場合には、生成された画像を編集して補うかたちを取ることが望ましいです。また、一部分だけ実店舗の画像に置き換えるなどのアレンジを加えることで、より魅力的な広告に仕上げられます。

まと

DALL-E3は、シンプルなテキストを入力するだけで高品質な画像を得られる画像生成AIです。前のバージョンであるDALL-E2と比べても、表現力が向上しただけでなく、ChatGPTなどと連携して生成時の日本語への対応が進むなど、随分と扱いやすくなりました。

DALL-E3は、適切な利用方法を選べば商用利用も可能な上、無料で利用することもできます。ポイントを押さえれば、たたき台としてのアイデア創出から本格的な広告デザインまで、さまざまなシーンでの活躍が期待できるツールです。

Sky IT TOPICS編集部

Sky IT TOPICS編集部は情報セキュリティやIT運用、テクノロジーに関する最新の動向、弊社商品の情報を発信しています。
Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。