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公開日2025.06.09

Azure AI Search(アジュールエーアイサーチ)とは? 機能、使用方法、プランを解説

著者:Sky株式会社

Azure AI Search(アジュールエーアイサーチ)とは? 機能、使用方法、プランを解説

AIの自動学習など、現代ではあらゆる場面で日々大量のデータが扱われています。一方で、大量のデータの管理方法や、膨大なデータの中から目的の情報を探し出す手間などが課題として取り沙汰されています。そのような課題を解決する手段として注目されているのが「Azure AI Search」です。これを活用することで、効率的なデータ管理やデータ検索を実現でき、効果的なデータ活用へつながります。今回はこのAzure AI Searchについて解説します。

Azure AI Searchとは何か

Azure AI Searchとは、Microsoft Azureで提供されているクラウドベースの検索サービスです。AIによる自然言語処理や機械学習を駆使して、ユーザーの意図を深く理解し、より関連性の高い検索結果を提供します。全文検索やベクトル検索にも対応しており、既存のアプリケーションに組み込むことで高度な検索機能を構築することも可能です。

また、Azure AI Searchは2023年11月に「Azure Cognitive Search」から名称が変更されました。名称が変わっただけで、サービス内容や機能、料金体系の変更はなく、これまでと同じように利用できます。

Azure AI Searchの特徴・機能

Azure AI Searchの特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

データをインデックス化して管理できる

データのインデックス化とは、データを検索しやすいように整理・分類することを指します。Azure AI Searchは、取り込んだ大量のデータをインデックス化することで、高速かつ効果的な検索を実現しています。構造化データと非構造化データの両方に対応しており、テキストデータはもちろんのこと、画像や動画のインデックス化も可能です。

自然言語処理(NLP)と機械学習を活用して関連性の高い結果を表示できる

検索エンジンがキーワードマッチングに依存していた従来の検索技術とは異なり、Azure AI Searchは高度な自然言語処理が可能です。文脈やユーザーの意図を人間のような理解力を持ってくみ取ることで、より適切な検索結果を表示できます。また、機械学習を用いて検索パターンや行動を学習し、検索精度を向上させることもできます。

高精度なデータマイニングにより質の高い分析ができる

Azure AI Searchは、膨大なデータの中からビジネスに価値ある情報を発掘することが可能です。特にトレンドやパターンを発見することに長けており、マーケティング戦略などに活用できます。

Azure AI Searchの活用場面

Azure AI Searchはさまざまな業界やアプリケーションで活用されています。ここでは、2つの活用例をご紹介します。

検索機能の実装

情報が増え続けている現代において、サービスやシステムに検索機能を実装することはもはや必要不可欠といえます。

Azure AI Searchは、自然言語処理を活用した検索語句の関連づけや、ユーザーの検索結果を機械学習した上でのフィルタリングなど、高度な性能を備えた検索機能を構築できます。また、ほかの検索ソリューションと比較してもカスタマイズの自由度が高く、インデックスや検索システムを独自で管理することも可能です。

このAzure AI Searchの特性は、ECサイトやWebサイトの検索機能を構築する上で大きく役立ちます。Azure AI Searchを活用し、顧客ごとに購入履歴や行動を分析できる検索機能を構築することで、よりパーソナライズされた製品やサービスを顧客に提案することが可能です。結果として、Webサイトの訪問者が目当ての製品やサービスを迅速かつ簡単に見つけられるようになり、顧客満足度の向上にも期待できます。

データの検索

Azure AI Searchは商業的な検索機能の構築だけでなく、企業内におけるデータや文書などのコンテンツ管理にも適しています。日々の企業活動のなかで膨大なデータが生み出されてはいるものの、その管理方法や活用方法に課題を感じている企業は少なくありません。

Azure AI Searchを導入することで、Microsoft WordやPowerPoint、ExcelやPDF、メールといった社内に存在するあらゆるデータを横断的に検索することが可能になり、目的に沿った情報を素早く見つけることができます。

その結果、データの管理や検索にかかる時間を削減でき、普段の業務が効率化されるほか、意思決定のスピードも上がり、企業としての生産性を向上させることが可能です。

Azure AI Searchの使用手順

Azure AI Searchは、「プロビジョニング」「インデックスの作成」「データの読み込み」という流れで検索機能を構築していきます。以下で、各ステップについて説明します。

①プロビジョニング

プロビジョニングは「必要なものを準備・提供すること」を意味し、IT分野ではITインフラ設備などのシステムリソースを準備すること、またそれらを管理するプロセスを指す言葉として使用されます。

Azure AI Searchにおけるプロビジョニングは、Azure上のサービスを一元管理できるコンソールである「Azure portal」から設定するのが一般的です。また、後ほどご紹介するプランの設定もこのAzure portalで行えます。ストレージの容量、パーティションやレプリカをスケーリングしたい場合は、Basicプラン以上の有料プランを契約することで実現できます。

②インデックスの作成

実際にデータを読み込む前に、データを格納する場所であるインデックスを作成します。スキーマと呼ばれるインデックスの構造を定義する必要があり、フィールド名(データの項目名)や、データ型(数値や文字列などデータの種類)、フィールド属性(検索可能、フィルタリング可能などの特性)を設定していきます。

インデックスの作成もAzure portal上から実施でき、フィールドの追加といったさまざまな設定をGUIベースで行うことが可能です。ただし、データの整合性や検索精度を維持するために、一部を除いて一度設定を完了したフィールド定義を後から変更できない点には注意する必要があります。

③データの読み込み

インデックスが作成できたら、格納するデータを読み込みます。Azure AI Searchでは多くの構造化・非構造化データを取り込むことができ、Microsoft Word、PowerPoint、Excel、PDF、RTF、html、xml、JSONなど、あらゆる形式のデータのアップロードが可能です。また、インデクサーを用いることで、「Azure Blob Storage」「Azure Files」「Azure SQL Database」など、Azure上のデータソースからデータを読み込むこともできます。

インデックスとインデクサーは似た表現ですが、それぞれ別のものです。簡単に説明すると、インデックスはデータを格納する場所を指し、インデクサーはデータソースからデータを読み取ってインデックスに格納する機能を意味します。

Azure AI Searchのプラン別の特徴

Azure AI Searchでは、ストレージの容量や作成できるインデックス数などに応じて、さまざまなプランが用意されています。以下の表は、各プランの内容をまとめたものです。

プラン ストレージ 最大インデックス数(サービスあたり) スケールアウトの制限(サービスあたり)
Free 50 MB 3 該当なし
Basic 15 GB
(サービスごとに最大 45 GB)
15 最大 9 ユニット
最大 3 パーティション
最大 3 レプリカ
Standard S1 160 GB
(サービスごとに最大 1.9 TB)
50 最大 36 ユニット
最大 12 パーティション
最大 12 レプリカ
Standard S2 512 GB
(サービスごとに最大 6 TB)
200 最大 36 ユニット
最大 12 パーティション
最大 12 レプリカ
Standard S3 1 TB
(サービスごとに最大 12 TB)
200 または
1,000/高密度モードのパーティション
最大 36 ユニット
最大 12 パーティション
(高密度モードでは最大3個)
最大 12 レプリカ
Storage Optimized L1 2 TB
(サービスごとに最大 24 TB)
10 最大 36 ユニット
最大 12 パーティション
最大 12 レプリカ
Storage Optimized L2 4 TB
(サービスごとに最大 48 TB)
10 最大 36 ユニット
最大 12 パーティション
最大 12 レプリカ

参考:Microsoft「Azure AI Searchの価格」に基づき制作

①Freeプラン

Freeプランは、AI検索機能をコストをかけず手軽に試してみたいという場合に適しており、小規模なプロジェクト向けのプランといえます。利用可能なストレージが50MBまでであることや、サービスあたりの最大インデックス数が3つであることなど、さまざまな制限があることには注意が必要です。

②Basicプラン

Basicプランでは、インデックスのレプリカを作成できるようになります。レプリカを作成することで、クエリ(インデックスからデータを検索するための要求)の負荷を分散でき、応答時間が短縮されるなど、検索のパフォーマンスを向上させることが可能です。

また、暗号化キーの作成やファイアウォールの使用といったセキュリティ対策も、このプランから対応しています。

③Standardプラン

Standardプランは、Basicプランでできることに加えて、災害対策も可能なプランです。より強固なシステムを構築したい場合や、画像や動画といった大容量のデータを保管したい場合に適しています。

また、Standardプランには、ストレージの容量や作成可能な最大インデックス数が異なる3種類のプラン(S1~S3)が用意されています。それぞれ料金も異なるため、用途に合わせて適切なプランを契約することが大切です。

④Storage Optimized

テラバイト規模の大量のデータを扱う場合は、Storage Optimizedが適しています。ストレージの容量が違う「L1」と「L2」の2つのプランが用意されており、変更頻度が低い大規模なインデックス用に設計されています。

一方でクエリの待ち時間が長くなるため、用途に対して妥当かどうかを確認する必要があります。また、テラバイトあたりの価格はStandardプランより安いものの、総合的なコストは高くつく場合があるため、契約の際には慎重に計画を立てることが重要です。

まと

Azure AI Searchは、Microsoft Azureで提供されているクラウドベースの検索サービスであり、AIによる自然言語処理や機械学習を活用した高度な検索機能を構築できます。

日々膨大なデータが生み出されている現代において、データを効果的に活用するには、データを効率的に管理・検索できる体制を整備する必要があります。Azure AI Searchは、そのような体制を整備する上で非常に効果的なサービスといえます。Azure AI Searchの導入を検討する際、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

Sky IT TOPICS編集部

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Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。