
OpenAI APIとは? 特徴やメリット、注意点を紹介

OpenAI APIは、ChatGPTで利用される大規模言語モデルのGPTシリーズをはじめとして、OpenAI社が開発してきたさまざまなAIモデルを扱えるAPIです。OpenAI APIを活用することで、企業や個人が独自に開発したツールやアプリケーションに対して高度なAI機能を組み込み、多彩な機能を実現することができます。例えば、社内向けのAIチャットボットを開発できるようになるなど、業務の効率化に好影響をもたらすとして期待が寄せられています。この記事では、OpenAI APIの特徴やメリット、活用する際の注意点などについてまとめています。
OpenAI APIとは何か
OpenAI APIとは、OpenAI社が提供する人工知能のAPI(Application Programming Interface)のことです。OpenAI APIを使えば、企業や個人が独自に開発したシステムやサービスに対して、OpenAI社が提供するAIモデルを簡単に組み込むことができます。
OpenAI APIで利用できるAIモデルは高い拡張性と柔軟性を持つため、多岐にわたる用途で活用されます。例えば、企業サイトの問い合わせ対応を自動化するチャットボットの開発など、業務の効率化や顧客満足度の向上に結びつけることが可能です。
OpenAI APIの特徴
OpenAI APIは、テキスト、画像、音声といった幅広いモダリティに対応しており、高度な推論に基づく言語生成や文章の要約・翻訳、画像の生成といったタスクを処理できます。
OpenAI社が提供する代表的なAIモデルには、ChatGPTで利用される大規模言語モデルのGPTシリーズのほか、テキストから画像を生成できるDALL-E3、音声をテキストに変換できるWhisperなどが挙げられます。
OpenAI APIを活用するメリット
GPTシリーズのような大規模言語モデルを一から開発し、学習させるための質・量ともに十分なデータセットを用意することは決して簡単ではありません。OpenAI APIを活用すれば、モデル開発に必要なリソースを削減できるだけでなく、OpenAI社によってアップデートされた、常に最新の性能と機能を持つAPIを使うことができます。
また、OpenAI APIは高い柔軟性を持つため、その利用は敷居の高いものではなく、既存のアプリケーションに組み込むことも容易といえます。
OpenAI API とChatGPTの違いとは
OpenAI APIとChatGPTは、どちらもOpenAI社が提供するサービスですが、その料金体系や活用の仕方には大きな違いがあります。OpenAI APIはAPI連携サービスであり、機能の実装が必要な分、生成AIサービスであるChatGPTよりも高度な機能が実現可能です。
1.従量課金
ChatGPTの有料プランは月額での課金制をとっているのに対して、OpenAI APIの場合はAPIの使用頻度に応じて料金が変動する従量課金制をとっています。使用するAIモデルによってベースの料金が異なり、扱うトークン数に応じて計算されます。トークンとはAIモデルに入出力する言葉の基本単位のことで、英語の場合はおおよそ1単語が1トークンに相当します。日本語の場合は、1文字あたり1~3トークンとされます。
一例として、ChatGPT API を利用する際に必要なコストは以下の通りです。トークンあたりのコストがモデルによって大幅に異なることがわかります。
モデル | 100万トークンあたりの料金 | |
入力トークン | 出力トークン | |
GPT-4.1 | $2.00 | $8.00 |
GPT-4.1 mini | $0.40 | $1.60 |
GPT-4.1 nano | $0.10 | $0.40 |
GPT-4o | $2.50 | $10.00 |
GPT-4o mini | $0.15 | $0.60 |
参考:OpenAI「API 料金」
特に最新のAIモデルを活用する場合や扱うトークン数が多い場合には、思わぬ高額料金が発生しかねないため注意が必要です。
2.プログラミング言語で実装する
ChatGPTは対話型の生成AIであり、ユーザーが入力したプロンプト(指示)に応じて自然な文章で出力(回答)が行われます。プロンプトには一定の型があるため、目的に応じたテンプレートを探し出して微調整を加えるだけでも、ある程度クオリティーの高い回答を得ることが可能です。
一方、APIの場合はPythonやGo言語などのプログラミング言語を用いて、開発者が自らの手で必要な機能を実装する必要があります。OpenAI APIの使い方はOpenAI社の公式Webサイトにて公開されている「API Reference」にて確認できますが、プログラミング言語を扱うことが求められるため、ChatGPTと比べると活用の難易度は高いといえます。しかし、その分自由度も高く、文章の自動生成ツールやAIエージェントの構築など、より高度な機能を実現できるメリットがあります。
OpenAI APIの活用例
OpenAI APIで、テキスト生成用のAIモデルを使用した場合に考えられる活用例を紹介します。例えば、定型作業を自動化したり、オリジナルのAIチャットボットを開発したりできます。
作業を自動化できる
文章の要約といった定型作業の自動化そのものは、ChatGPTを用いて手軽に行えますが、複数の文章を対象とする場合に「同じ指示を繰り返し行う必要がある」という点には改善の余地があるといえます。このときAPIを活用することで、一連の流れを自動化できる可能性があります。
例えば、学術論文で扱っている技術の要点や課題などを抽出してまとめるシーンを考えると、膨大な量の文章とプロンプトを何度もChatGPTに与えるのには多大な手間がかかります。OpenAI APIを活用すれば、「対象となる論文のリストを作成して自動で読み込ませる」「要約の指示をまとめたプロンプトをプログラム中に組み込む」といったステップを踏むことで、作業の自動化を進めることが可能です。
AIチャットボットを開発できる
OpenAI APIによって、独自の機能を持たせたAIチャットボットを開発し、ChatGPTのようにユーザーとの対話を通じて情報を提供する仕組みを構築することができます。
例えば社内向けのFAQチャットボットであれば、従業員に提供したい情報を事前に読み込ませておき、その情報に基づいた回答を出力するよう指示します。AIに明確な役割を与え、回答の形式などに関しても細かな制約条件を補足しておけば、不適切な回答を防ぎつつポイントを押さえた出力が可能です。
OpenAI API使用時の2つの注意点
OpenAI APIを取り入れる際には、APIの利用時に認証を行うために必要な「APIキー」の管理を徹底しておくことが大切です。また、OpenAI APIでは従量課金制を採用していることから、料金が想定以上の高額にならないように注意を払う必要があります。
APIキーの管理を行う
OpenAI APIを利用する際には、OpenAI社の公式サイトからAPIキーを取得した上で支払い情報を登録します。料金はAPIキーに基づいて発生するため、「APIキーの使用状況を定期的に監視する」「不要となったキーはただちに無効化する」など、APIキーの不正な流出が起こらないよう厳重に管理しなければなりません。また、万が一に備えて、支払いの上限金額を設定しておくことも効果的です。
APIキーの管理を徹底することで、個人情報をはじめとする機密データの流出や、データの改ざん、金銭的な損失を防ぐことができます。
高額料金に注意する
OpenAI APIは従量課金制のため、利用の仕方によっては思わぬ高額料金が発生するリスクがあります。入力と出力のトークン量に応じて金額が決まるため、必要以上のトークンを扱うことのないように注意が必要です。
例えば、OpenAI APIの活用例として先に挙げた「AIチャットボット」の場合を考えると理解しやすいです。APIでは、ChatGPTとは異なり対話内容を記憶しません。そのため、過去の対話内容に基づいた質問をする際には、その内容をあらかじめ引き渡しておくことが求められます。このとき入力するトークン量が多くなると、その分だけ高額の料金がかかってしまいます。
それと同時に、質問を与えた結果、返ってくる回答の分量にも気をつけなければなりません。トークン数の上限を設定しておく、短い文章で回答するような指示をプロンプトに組み込んでおくといった、想定外の分量での出力を防ぐ工夫が必要です。
また、使用するモデルによってトークンあたりの金額が異なる点にも要注意です。出力の精度やレイテンシ(通信の遅延時間)の高低などによって数十倍の料金差が発生する場合もあるため、利用するAIモデルを十分検討することが必要です。
まとめ
OpenAI APIの活用を通じて、OpenAI社が提供するさまざまなAIの技術を独自のシステムやサービスに組み込むことができます。OpenAI APIはプログラミング言語による実装が必要な分自由度が高く、社内向けAIチャットボットの開発といった、より高度な機能を実現できるメリットがあります。APIキーの管理や利用料金に関しては慎重な対応が必要になるものの、適切に活用できれば、業務の効率化や顧客満足度の向上に結びつけることが可能です。